EC事業とECサイトの立ち上げ方とは

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「自分のネットショップを持ってEC事業を始めたいが、何から手をつけたら良いのかわからない」と、EC立ち上げをしたくても立ち上げ方がわからず悩んだままになっていませんか?

今回の記事ではEC事業立ち上げまでの手順を解説し、EC事業を行うメリットやEC事業を成功させるポイントを説明します。
ECサイトの立ち上げを少しでもスムーズに進められる参考になれば幸いです。

目次

EC事業立ち上げまでの手順

EC立ち上げまでのおおまかな手順を考える

「ECサイトを立ち上げたい」と思ったらまずなにから始めたら良いのでしょうか?
EC立ち上げとそのEC事業を、誰がどこまでやるのか、他社に全部委託してしまうのか、というところからそもそも考えないといけません。中小企業でも家族経営でも個人でも、「担当者を誰にするか?あらたに雇うのか?何人でやるのか?どこの会社に開発を依頼するのか?」という問題が出てきます。

「EC事業をやりたい」といった本人の気持ちだけでは進められません。EC立ち上げの責任者が決まり会社として「ECサイトを立ち上げる」と決意してからすべてが始まります。

次におおまかに決めるべきことの手順を以下に紹介します。

  1. 扱う商材と販売ターゲットを決める
  2. ECサイトの方向性・コンセプトを決める
  3. 売上目標・ECショップ運営担当者・組織の規模を考える
  4. ECサイト構築と運営にかかる費用と費用対効果を予算化する
  5. ECサイト構築からオープンまでのスケジュールをつくる
  6. ECサイトの構築方法を決める

これらの項目について最初にじっくり考えておかないと、ECサイトの構築を業者に依頼してしまってから考えが変わったり、意図したサイトではないものができてしまったりと、結局修正を要することになり、費用がさらにかかる、スケジュールが遅れる、などのマイナス面が大きくなってしまいます

①から⑥までの一つ一つの項目について掘り下げていきましょう。

① 扱う商材と販売ターゲットを決める

製品の製造原価、仕入れの納期、在庫の確保や保管場所まで、自社製造であれ仕入れ品であれ、販売商品を何にするか、安定供給できるか、包材、物流の方法まで、マーチャンダイジング全体を網羅して考えないといけません。

次に、その商品を誰に販売するのか、ターゲットを吟味し絞りこんでいきます。
自社(自分)の強み・弱みを分析し、自社ができること、知識があり得意な分野を把握し、立ち上げるECサイトのビジョンを明確にしておくことが大切です。

② ECサイトの方向性・コンセプトを決める

扱う商材やターゲットを考えていくと、ECサイトのコンセプトが見えてきます。
サイトのブランディングやイメージが徐々に明らかになり、若い世代向けの流行品なのか、女性がターゲットか、高齢者向けの商材なのか、自然や環境に配慮したものかなどによりサイトの見せ方やコンセプトが明確化し、ショップ名やブランド名、商品名も併せて決めていくことになります。

扱う商材は今後変えていくことも予想されますが、コンセプトが定まっていないと何を売りたいサイトなのかがブレてしまい、販売ターゲットがあやふやになり、サイトの信頼を失いかねませんので重要です。

③ 売上目標・ECショップ担当者・組織の規模を考える

扱う商材とその確保量、売り方、ターゲットが計画できたら、1カ月の売上予想を立てます。自社製造能力や仕入れの資金力なども考慮し、売上と粗利益の数値目標を立て、人員確保もこの時点で計画します。

このサイトで何を実現したいのか、売上目標を含めた計画は、3年をめどにするのが良いと言われます。というのは、一度ECサイトを導入してしまうと、別のシステムに入れ替えるのは容易ではなく高コストだからです。

④ ECサイト構築と運営にかかる費用と費用対効果を予算化する

目標を達成するために、社としてECサイト構築費用をどのくらいと考えているのか、運営にかかる費用もある程度予測し、費用を予算化しておく必要があります。
計画と予算に見合ったサイト構築方法を選択していくことになります。

⑤ ECサイト構築からオープンまでのスケジュールをつくる

ECサイトの計画から構築、ネットショップオープンまでのスケジュールを立てます。
早くネットショップをオープンさせたいからと無理なスケジュールを立ててはいけません。
適したスケジュールを計画し、会社として共有の認識を持ち、外部にサイト製作を依頼するにしても、自社、サービス事業者、サイト制作者、商品担当者、サイト運営者など、プロジェクト関係者のどこかに負荷がかかりすぎることのないよう打ち合わせをしっかり重ね、タイムテーブルや進捗管理表を作成します。

誰がどの業務の担当で、いつまでに完了するのかそれぞれの責任と役割分担をはっきりさせておくことが大切です。

ECサイトの構築方法を決める

予算とスケジュールに適した構築方法を決めます。サイト構築方法はおおまかに以下の5つに分類されます。

ASP

「ASP」とはApplicationServiceProviderの略称で、ソフトをインストールしなくてもクラウド上で利用できる仕組みです。ASPカートと呼ばれる、購入・決済のカートシステムを持つサービス事業者を指します。

BASEやSTORES.jpなど初期費用・月額費用が無料のものやMake Shopなど低コストで利用できるものが多く、簡単かつ短期間にECサイトを構築することができます。
費用対効果が最も良いECシステムですが、自由なデザインができない、カスタマイズができない点がデメリットです。

オープンソース

「オープンソース」とは、システムの「ソースコード」を無償で一般公開されているものを指します。ECにもオープンソースがあり、誰でも自由にオープンソースをダウンロードして、そのパッケージプログラムを使ってECサイトを構築することができます。

無料でソースコードが提供されるので、自由にカスタマイズすることが出来るのが利点で、デザインも自由、カスタマイズしたものを再配布したり販売したりすることも可能です。

EC-CUBEのカスタマイズ性・拡張性は無限です。事業デザインに合わせて外部サービスや基幹システムと柔軟に連携し、やりたいことを追求した継続性の高いシステム構築が可能です。

また、オープンソースであるため、顧客・購買データや知財・権利を自社で保有でき、デジタル資産を核とした継続性の高い独自プラットフォームを構築することができます。徹底した情報公開方針のもと、絶えず変化するコンプライアンスニーズに応じたセキュリティ対策を実施できることも大きな特徴です。

運用コスト・業務負荷を削減し、競争優位性の高いシステムによって売上アップを目指したい事業者に、EC-CUBEは特におすすめです。

ECパッケージ

パッケージ化されたECサイトのソフトウェアをインストールして、サイト構築を行うタイプを「ECパッケージ」と呼びます。業者がパッケージとしてECシステムを自社開発したものを、導入する企業向けにカスタマイズをするという方法で、主に年商1億円以上の中・大規模の企業向けです。

ECパッケージの最大のメリットは企業に合わせて自由にカスタマイズやシステム連携ができることですが、どれほど自社に適合したシステムができても、システムが5年も経つと古くなり、リニューアルしなければならないため、開発費用や労力を要してしまうことはデメリットでもあります。

クラウドEC

「クラウドEC」はクラウド上のECシステムが常に更新されるため、「ECパッケージ」のデメリットである「システムの陳腐化」を克服したECシステムです。

カスタマイズが可能でデザインが自由、システムが古くならない等、「ASP」と「ECパッケージ」の良いとこどりですが、やはり「ECパッケージ」と同様、開発期間や費用面で大きな負担がありますので、中・大規模のECサイト向けです。

フルスクラッチ

「フルスクラッチ」は0から設計してサイト構築をする方法です。
どんな要件でも一から作るので実現可能で、自由にカスタマイズもシステム連携も行うことができますが、そのぶん手間と費用が大きくかかるため大企業向けのECシステムで、個人や中小企業には向きません。

まとめますと、個人や中小企業様がECサイトを立ち上げるには「ASP」や「オープンソース」を利用するのがおすすめということになります。

EC-CUBE公式アドバイザーが、ツール選びからサイト制作、マーケティング・セキュリティの領域までアドバイスいたします。ご相談窓口はこちら

EC事業のメリット

メリット① 実店舗販売より低コストではじめられる

実店舗を出店するには、内装工事や什器、備品などの費用が発生するうえに、店舗の立地も重要になるため土地代や賃料も高額で、初期に相当な金額を必要とします。
ネットショップは、実店舗出店と比較すればかなり初期費用が低コストではじめることができるのがメリットです。

近年は無料でネットショップをオープンできるサービスもあり、以前よりECサイトの立ち上げに対するハードルがさらに低くなっています。
自分の計画する規模や予算に応じて、多額の費用をかけずにはじめられる点が新規事業参入として一番の魅力です。

メリット② 地域や時間の制限がない

インターネット上のショップですので、ECサイト運営者がどこにいてもショップ運営が可能です。
地域の限られた商圏内での商売ではなく、日本全国へ向けて販売できるため、立地の良い都市部に出店していなくても、都市部の消費者を相手に商売ができるのです。

さらに海外の消費者にまで販売をすることができるのがEC事業の大きなメリットです。
今までは海外への輸出には様々な課題があり、個人や小規模事業者では難しかった海外への物販も、「越境EC」ビジネス業者を利用することで、日本国内の指定場所に商品を発送すると、その商品を海外の購入者まで配送してもらえ入金処理代行まで可能になり、ますます世界への壁が低くなっています。

地域の制限がないのと同時に、休日でも深夜でも、消費者側と時差があろうとも、24時間インターネットを介して販売できるという営業時間の制約がないこともメリットです。

メリット③ 運営コストが安い

ECサイトの導入費用が低コストであるだけでなく、サイト運営に係る費用も実店舗運営と比較すれば低コストです。
店舗家賃と販売員が不要となるコスト減が大きな理由です。

もちろん売上を上げるための施策や宣伝費も必要で、売上があがれば作業量も増えるためバックエンドの人件費や梱包などの費用も増えますが、同規模の売上に要するコストとして比較するならば、実店舗運営より低コストで運営できます。

ネットショップをオープンさせても運営に慣れるまでに時間を要します。すぐに顧客が増えて売上が急に上がっていくわけではありません。
まだ売上が安定的に増えていく前の時期に、月々の運営コストが抑えられることは事業継続しやすいメリットです。

メリット④ 事業者としての信頼を得られ宣伝効果がある

自社商品の営業を行う際、ECサイトを持っていれば、そのサイトを案内することで営業先へ信頼を与えることができます。
自社の会社案内や商品カタログなどの冊子の用意がないとき、また書類を遠方の相手にすぐに見せられないときでも、ECサイトで紹介が迅速に可能となります。

営業を効率化させ、取引相手に信頼感を与えると同時に、顧客開拓への宣伝としての機能もあります。
ECサイトは、いまや自社の名刺と会社案内・商品カタログの役目をも担い、間接的な売上アップにもつながります。

メリット⑤ 異業種・新たな商材への参入がしやすい

2020年からの新型コロナウイルス流行により、事業の業態変更や、新たな商材販売への参入をする企業や個人が急増しました。
ニューノーマル時代、とくにオンラインでのビジネスを開始する企業はますます増えていますが、ネットショップ運営などのEC事業は、自社が今まで行っていた事業と異なる分野や新しい商材販売への参入がしやすい業態です。

新たな仕入れ先や外注先を探すにしても売買契約をするにしても、インターネット上で可能になっていますし、オンラインで商談できるなど、EC事業を行いやすい環境が整っているからです。
今まで自社が関わったことのなかった異分野の商材であっても、仕入れて販売することが容易で、商材の変更、売り方の変更もサイトのページで完結できるため、大きなリスクなく売れる商材を探すことが可能です。

メリット⑥ 販売の機動力・瞬発力・修正力が高い

ECサイトでの販売は、季節や行事、環境の変化や外的要因、SNSの効果などで突発的に注文が激増する、激減する、など、外的環境による影響を受けやすいものです。
売れ筋商品をすぐに充足させる、在庫品をすぐに処分販売する、ネットショップに対応する人員の調整をするといったことを、実店舗より機動的に行うことができるのがネットショップ運営の利点です。

ECシステムには、例えば予約販売とか定期販売、オークションなど様々な売り方が用意されており、また、SNSによる集客やライブコマースなど多様な宣伝や販売手法を実施できます。
実店舗販売や自社で行う通常の営業担当者の営業活動では実現不可能な販売方法で臨機応変に対応できるのが、EC事業の最大メリットです。

メリット⑦ 若手社員の登用と社内活性化につながる

現在では多くの人がInstagramやTwitter、Facebook、LINEなどのSNSを利用しており、SNSの発信力は強大です。
YouTubeで案内された商品が瞬く間に売り切れになるなど、インフルエンサーの影響力はもはやテレビCMにも勝ると言われ、ますますその力は大きくなると予想されています。

そのため、EC事業を立ち上げるとき、集客ツールとして欠かせないのがSNSなのです。
EC事業の担当者を決めるとき、その企業アカウントでのSNS発信を担当する者を専任で決めるという会社も増え、なかにはそれぞれ複数の担当者を専任して力を入れている企業もあります。

このとき抜擢されやすいのは、プライベートでふだんからSNSを使いこなしている若い世代の社員です。
「入社間もない若手社員に企業のSNS発信を任せたら、いつのまにかフォロワーが爆増して、売上が何倍にもなった」という話題が、メディアで取り上げられる機会も増えました。 そのことで若い世代が俄然やる気になり新アイデアを出し合ったり新しいことに挑戦したりするなど、会社全体の士気が上がった、会社が活性化した、というように、EC事業の売上だけではない良い相乗効果が生まれます。

SNS発信により自社のことを外部から見られているということを意識した結果、社員の自社事業への関心や売上への意識が高まるというメリットを生み出します。
EC事業のメリットは多々ありますが、企業として一番のメリットは、従業員の自社への意識の共有と社内の活性化による一体感と言えるでしょう。

EC事業の困難なポイント

EC事業立ち上げたいとお考えの方は、あらかじめ躓きやすい点・困難な点を意識しておくことで事前準備や対処が可能となりますので参考にしてください。

1.制作会社・WEBマーケティング会社とのトラブル

ECサイト立ち上げ直前直後に一番多い問題です。
中小企業や個人事業主など小規模事業者がECサイトを新規に立ち上げる際、ネットショップページ制作をHP制作会社に依頼することがほとんどで、SEO対策や集客などのマーケティング手法についても外部の会社に依頼する場合があります。

いざサイトが完成してオープンする直前になって、社長が見て「こういう機能はないの?」「ここをこう変えてほしい」「よく利用しているネットショップはこういうことができるのにウチのサイトではどうしてできないの?」などと言われ、企業の担当者が社長と制作会社との板挟みになってしまうという問題です。
依頼した本人でさえ、出来上がったデモサイトを実際に見て初めて自分の考えがまとまってくるというような本末転倒のようなことも出てきてしまいます。

小規模企業ではEC事業についてサイト立ち上げから運営、売上を伸ばすWEBマーケティングまでを深く理解している人材がほぼいないのが現状のため、外部の会社に依頼する時の取り決めが曖昧なまま進めてしまう、説明を受けても理解できていないのに言われるままに契約してしまうという事が原因です。

外部との契約のため、契約上どこまでできるのかできないのか、追加料金が発生する、サイトオープンの延期などといった問題に発展してしまうことがあります。
サイト構築方法を決定する際や制作の進捗状況について社内で情報共有をし、不明点はその時点で質問して理解するようにして進めることが大切です。

2.ECサイト担当者の業務がブラックボックス化する

ネットショップ運営はPCに向かって作業することがほとんどです。システムへログインしての作業のため権限のない人は見ることがなく、業務内容がほかの社員からわかりません。
ネットショップ担当者としての幅広い業務があるのに「ネットショップの注文が少ないのにPC画面に向かってばかりで何をやっているんだ」「SNSで遊んでいるのではないか」などと思われてしまうのです。

ネットショップも実店舗運営と同じで、商品の入れ替えや陳列を変える、POPやキャッチを考える、チラシを巻いて宣伝するといった作業をネットショップ内で行っているのですが、それが他の社員には見えにくいのです。
「ネットショップ店長に業務が集中してしまう、周囲に理解してもらいにくい」という問題があります。

これを放置すると店長が退職する際などの引継ぎにも影響が出ます。
会社全体でのECサイト運営への理解と協力、業務分担が求められます。

3.サイト運営における決定権が明確でない

ネットショップでは、集客のための広告や顧客へのキャンペーン、セールなどの施策を常に実施しながら運営します。
SEOやPR戦略、販売戦略について費用を必要とすることがあるとき、その決裁権が誰にあるかは大変重要な問題です。

ネットショップ店長が一社員の場合、費用に関する決定権がないため上司や社長に稟議申請しているあいだに時間が経ってしまう、理解されずに裁可が下りなかったなどでせっかくの販促宣伝の機会を逃してしまうことがあります。
売上責任や運営責任は店長にあるのに、その施策や宣伝の決定ができないのでは、EC事業は成功できません。

ECサイト運営においては、組織やチームの役割分担と権限委譲を明確化しておくことが大切です。

4.在庫管理やバックヤードとの連携などの体制確立

ネットショップは対面販売ではないからこそ、受注から商品を迅速に確実にお届けすることがショップの信頼を得るために何より大切です。

しかし、社内で業務フローやルール、連携が確立できていないと、注文商品を梱包・発送するときになって初めて資材がない、注文商品が現場に正確に伝わらずに誤った商品を発送してしまう、出荷体制・集荷連絡が整っておらず日時指定の発送が間に合わなかった、実店舗で売れてしまい在庫がないなどのトラブルを引き起こし、ショップの信用問題となります。

サイトオープン前に、顧客からの質問やクレーム対応、受注管理、在庫管理、物流などの管理と業務フロー、連携体制、運送業者の手配など、社で確立しておかないと、注文に対応できません。

5.マーケティング・集客の知識・スキルが必要

ECサイトの集客、いわゆるWEBマーケティングは、知識や経験がないと実践が難しく、高いITリテラシーを要しますが、その人材不足という点もEC事業を困難にします。
ECサイトを作るだけでは認知されないので誰もサイトに訪れてくれないため売上を作れません。ECサイト運営で一番大変なのは集客です。

SEO対策やリスティング広告、SNSからの集客など様々なITスキルが必要で、自社サイト運営にマッチする知識やスキルを有する人材を確保することがEC事業の中で最も困難な点です。

EC事業成功のポイント

ここまで、EC事業を立ち上げたいと考えている方へ向けて、立ち上げまでの手順やEC事業のメリット、困難な点を述べてきました。
それらを踏まえたうえでEC事業を成功させるポイントを紹介します。

1.社内での業務分担・役割と具体的な指標づけをする

サイトの土台となるコンセプトや扱う商材、売上目標や予算をしっかり立て、自社の目標の実現に適すると思われるサイト構築方法や、扱う商材に適した販売サイトの設置場所を決めることが重要です。

責任者は自社のEC事業に関するすべての業務を把握し、各業務の担当を決め、役割と責任を明確にします。

プロジェクトチームとして組織化し、決まったことの情報や進捗状況をチームで共有しながらEC立ち上げを進めないといけません。

大切なのは、たとえば商品企画開発の担当者であれば扱う商材の原価や仕入れ納期やロットなど、在庫管理者ならば原料・資材・包材の準備など、サイト制作に関わる者なら商品撮影やライティングなど、といった各業務に数値目標や期限などの具体的な指標を関係者全員が共有しながら作り上げていくことです。

人員の少ない中小企業で新規事業が成功するかしないかは、会社全体で新規事業への関心や目標意識を持っているかどうかにかかっています。それはECサイトでも同様です。

2.目標と計画に適した構築システム・事業パートナーを選ぶ

ECサイトで何を実現したいのか、自社の長期的な売上目標と計画、予算をもとにサイト構築方法と業者を選定します。

レンタルカートやモール型ECサイトは手軽にオープンでき、モールの集客力が強みで魅力ではありますが、長期的にEC事業を作り上げ独自性を出すには適していません。費用も案外かかり、モール内の出店者間の競争も激しく価格競争に陥りがちで他店との差別化が難しいのが難点です。顧客データはモール業者の所有となるため、モールから退店すれば顧客データは何も残りません。

独自にサイト構築する場合、フルスクラッチやパッケージであれば機能もデザインも自由自在にカスタマイズできますが、膨大な費用や人的工数を要するため、中小企業や個人事業主などの小規模事業者には不向きです。

小規模事業者が自社サイトを構築したい場合は、前述のASPかオープンソースを選択することが費用面から考えてもおすすめです。
なかでもオープンソースは、ASPでは実現できない自由なデザイン、機能のカスタマイズが可能ですから、ECサイトを長期的に自社に合わせてカスタマイズしていきたい事業者に適しています。

このように、サイト構築の方法を自社のEC事業の目的や計画、予算に照らし合わせて選択し、相性の良い事業パートナーを選ぶことが成功のポイントとなります。
「オープンソース」システムとして人気のEC-CUBEは、双方のメリットを備えた「オープンソース」のEC構築システムです。カスタマイズ性とコストパフォーマンスの良さで「月商1000万円以上で利用されているカートシステム」利用数でNo.1を獲得しています。

3.スキル習得や新しいツール導入等の情報収集と試す力・継続力

品質の良い素晴らしい商品を持っていたとしても、残念ながらそれだけでは売れません。
ネットショップは膨大にあり、このショップの存在、その商品の存在が知られていなければ誰もこのショップサイトに訪れてくれないからです。

そのためネットショップ運営で一番力を入れないといけないのが「集客」なのです。

「ショップサイトを知ってもらう=知名度を上げる宣伝」「商品などに興味を持ってもらいサイトに訪れてもらう=商品広告宣伝」「関心ごとを調べているうちに促されてこのサイトにたどり着く=検索・誘導・ニーズ喚起」「商品を欲しくなってもらい購入アクションしてもらう=行動喚起させるページデザイン・キャンペーン・コンテンツの充実」があります。

SEOによる検索対策・SNS運用・Web広告などを行い、集客したアクセス数、転換率、客単価などを分析し、施策の効果を数値目標で具体的に改善していく作業を地道に繰り返すことが必要です。

自社サイトに訪れてもらい購入のクリックを押すまでの流れには様々な施策があり、そのためのツールや機能があり、それらの効果的な使い方、数値分析の仕方など知らなければならないことはたくさんあります。

ECならではの知識が必要で、これらの知識やスキルを習得しなければ、ネットショップ運営は長期的に成功することはできません。
ITスキルの習得、WEBマーケティングの知識の習得、日々進化する新しいツールの情報収集など、常に学び、可能なものは試していく姿勢、それを継続する力が大切になります。

そのためには、ネットショップ担当者の日々の実践や学ぶ努力だけでは難しく、前項でお伝えしたように、自社の状況を理解し的確なアドバイスをしてもらえるECサイト事業パートナーの存在が大きいと言えます。

いくらその事業パートナーに高度なマーケティング知識があっても、一方的に「このような施策をこのように実行してください」などと指示され、自社の担当者の理解がついていかないまま、言われるがままお金を払い言われるとおりにやってもらっているだけでは、サイトの担当者はマーケティングスキルが身につかず、自社にノウハウが蓄積されません。

日々のサイト運営が自社のECマーケティングノウハウの蓄積にならないままでは、ネットショップの成功は難しいでしょう。

ショップ運営者が集うコミュニティや勉強会の活用

EC-CUBEではECサイト構築だけでなく、その後のサイト運営をサポートしてくれるコミュニティがあります。
ITのエンジニア、EC開発者、EC-CUBEをすでに利用されている多くのショップ運営者などが参加しており、EC-CUBEの機能や使い方も教えてもらえます。
また、ユーザーグループの勉強会・ガイドブック等も充実しています。

4.実店舗とECショップの違いを理解した顧客サービス

実店舗でもネットショップでも、商品やサービスを買っていただくお客様を大切にしなければ商売はうまくいきません。

これをネットショップに当てはめた時にどうするべきなのかを常に基本意識として持ちましょう。
入りやすい店頭レイアウト、お客様に笑顔で丁寧に接客する、商品をお客様の目を引くように陳列する、商品のスペックや価格をわかりやすくPOPで説明する等々、実店舗でのお店作りや店員から受ける接客を、まずは想像してみてください。

これらを、自社のネットショップを初めて訪れたお客様目線になって考えましょう。
サイトデザインは見やすくて、求める商品がわかりやすい、検索、操作しやすいデザインでしょうか?

お客様の目線になって考える

商品の画像、説明、スペックから使い方まで、お客様が知りたいと思う情報がわかりやすく掲載されていますか?

最近では、動画で説明する、購入者の感想を載せる、Q&Aで質問に答えるなど、限りなく店舗での接客に近づける工夫をしています。
また、問い合わせや注文があった際には、迅速に対応することも重要です。

注文商品がいつお届けできるかすぐにメールすることはもはや常識ですので、できていないとマイナスのイメージを持たれます。

この「ネットショップで当たり前にしてもらえる」とお客様が思っていることができていなければクレームにつながります。
口コミでマイナス評価ばかりのショップでは、とうてい成功できるはずがありません。
「双方の顔が見えない」
「すぐに口コミで広まってしまう」
「コンプライアンスを守る」
常に意識して大きなトラブルにならないように気をつけましょう。

さらに、他のショップとの差別化やプラスアルファのサービス、発送商品への同梱物でのさらなる案内、お礼メール、ファンになってもらうためのメルマガ等々と、一度購入してくれたお客様をリピーターにすることが売上拡大には必須です。

ネットショップの成功は、リピーター購入にかかっていると言っても過言ではありません。一度購入してくれたユーザーに、いかに2回目の買い物をしてもらえるか、を意識した施策を考えることが大切です。

まとめ

ECサイトの立ち上げを考えている方へ、サイト構築の際に留意しておきたいこと、成功させるためのポイントなどをご紹介してきました。

まとめますと、以下の手順で準備と情報収集をしておくことです。

  1. 立ち上げるECサイトの目的、コンセプト、商材、ターゲットを明確にする
  2. 担当者を決めチームを組織化する
  3. 売上目標とスケジュールを立てる
  4. コストを算出し、予算化する
  5. 上記を実現するために最適なサイト構築方法を決める

自社でこれから立ち上げようと考えているECサイト事業でメリットとなる点は何か、デメリット(困難な点)は何か、その洗い出しと課題解決策を模索しながら計画していきます。

全体を通してお伝えしたいのは「ネットショップは費用も安く手軽に立ち上げられるから、ネットショップ運営も楽だろう。売上もオープンしてから接客を丁寧にやって行けばそのうち自然に上がっていくだろう」というのは誤解だということです。

「来店されたお客様への接客を丁寧にやっていけばその積み重ねで」というのは実店舗ではそのとおりですが、ネットショップでは、いくら店頭(ショップサイトのトップページ)を綺麗にして待っているだけではお客様が来店してくれません。

コスト(費用を安く抑えること)、スピード(早くオープンできること)、イージー(簡単運営)を求めることは、サイト構築を考えるときの要素ではありますが、それらにあまりに囚われてしまうと、「ECサイトを立ち上げて何を実現したいのか」という基本からずれていってしまい、ECサイトをオープンさせることが目的となってしまいかねません。

自社のコンセプト、自社の持つ強みは何か、逆に弱いところはどこか、そのウィークポイントを補うためにやるべきことは何か、こういうふうに売りたい、こんな機能がほしい、を考えながら、もう一度ECサイト立ち上げまでの手順を追って洗い出してみましょう。

そうすると、サイト構築を依頼する業者に求めるものが明確になっていき、EC事業を成功させるポイントを充足できるサイト制作会社はどのような会社が良いか絞り込んでいくことができます。
あなたの思うイメージのサイト、やりたいネットショップビジネスが実現できるシステム、使いたい各種の機能がカスタマイズできるか、困った時に相談でき、売上アップを目指すパートナーとして寄り添ってもらえるか、を考えて、あなたの思いにふさわしい事業パートナーを選び、ともに成功を目指しましょう。

EC構築の「EC-CUBE」とEC-CUBEインテグレートパートナー

日本発EC構築パッケージとして、カスタマイズ性とコストパフォーマンスの良さで日本一選ばれ続けているEC-CUBE。
国産ならではの管理画面の使いやすさや充実した機能、豊富なデザインテンプレート、規模やビジネスに応じた高いカスタマイズ性により継続的なネットショップ運営の強い味方です。

推定3万5千店舗以上ものネットショップで利用されている人気のEC-CUBEですが、魅力はその機能やカスタマイズ性や低コストだけではありません。
EC-CUBEのパートナー制度はECプラットフォーム「EC-CUBE」と、そのユーザー、『EC-CUBEインテグレートパートナー』としてサイト制作会社やシステム開発者などの多くのEC関連企業が参加する制度です。

『EC-CUBEインテグレートパートナー』には、EC-CUBE活動実績によりコンピテンシーバッジを取得でき、取得したバッジに応じてランク分けされていますので、各社の得意分野、実績、技術力を判断する指標になります。

ECサイトを運営する事業者にとっては、サイト制作会社やシステム開発会社を指標ににより技術を見極め選択できるというメリットがあり、インテグレートパートナー企業にとっては、自社の技術力や実績をアピールできる場となり、いずれの事業者も、相互にビジネス的メリットを共有できるパートナーシッププログラムです。

補助金・助成金等の公的支援制度の導入診断チェックツールなど、インテグレートパートナー限定の特典もあります。
「EC-CUBEパートナー」への登録は無料です。
この機会にぜひEC-CUBE パートナー制度への参加を検討してみてはいかがでしょうか。

EC-CUBEインテグレートパートナー

最後に、EC事業を成功に導くために何よりも必要なことをお伝えします。
それは、作り上げるネットショップに対する愛着と大切に育てていく情熱を根気強く持ち続けることです。
それは夫婦が子どもを授かり、母親のお腹の中でしっかり栄養を与えて心を込めて楽しみに準備し、出産し、愛情をたくさん注ぎ、周りからの助けを受けながら試行錯誤しながら子育てしていくのに似ています。
良かれと思ってしたことが上手くいかないということもあれば、期待していた結果を得られないときもあるでしょう。
はじめての子育てはわからないことが多くて大変ですが、子育て経験者やお医者様、学校の先生や友達などの存在に助けられます。

夢や希望を託して苦労して立ち上がる自社サイトは、かわいい我が子のような存在です。そして、子育て経験者やお医者様の役目に当たるのが、EC事業パートナーです。
ひとつの施策をしたら売れて成功して終わり、ではありません。
1つのヒット商品がたまたま大当たりしたから成功、でもありません。
毎日の細かい作業の積み重ね、トライアンドエラーの繰り返しを根気よく継続することです。
パートナーにアドバイスを求めながら、日々のサイト運営に情熱を持って続けていけば、必ず大きな成果につながることでしょう。

この記事を書いた人

株式会社イーシーキューブ

ECサイトを新しく立ち上げたい、ECサイトの運営について詳しく知りたい、そんな方にお役立ちする情報を分かりやすく解説し、発信しています。

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