ECサイトのリニューアルを成功させるコツ!手順、タイミング、注意すべき点を解説

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格安で簡単にはじめられるASPサービス(インスタントEC)などでECサイトを立ち上げた後で、ネットショップ担当の皆さんは下記のような課題でお悩みではないでしょうか。

  • 顧客や自社のニーズに合わせて機能を追加したい
  • 扱う商品数や種類が増え、効率運営ができていない
  • サイトデザインが時代遅れになってきたと感じる
  • システムが老朽化している、接続が遅いと感じる

ある調査結果では、80%の企業が現在使っているECプラットフォームに不満を感じているようです。そこで今回の記事では、ECサイトをリニューアルするタイミング、リニューアルの手順、注意すべきことや成功のポイントを解説していきます。
「これからECサイトをリニューアルしたいが、失敗したくない・回り道をしたくない」と考えている方のヒントになれば幸いです。

ECサイトリニューアルのタイミング

EC業界には、リニューアルの成功によって企業やブランドが躍進したたくさんの成功事例がありますが、リニューアルに成功した企業が、そもそも、なぜECサイトをリニューアルしたいと考えたのか?そこには共通するきっかけがあります。はじめに、事業者がECサイトをリニューアルした方がよいと判断すべきタイミングについて一緒に考えていきましょう。

システムの老朽化

システムを長年使っていて、機能しにくくなったと感じたときがリニューアルすべきタイミングのひとつです。ASPサービスやクラウドサービスは時代と共にアップデートしていきますが、パッケージ型などインストールするタイプのソフトウェアでは、利用者自身がアップデートをする必要があるのが通常です。アップデートせずに運用を続けた場合は、老朽化により、ECサイトの管理画面やUIの使い勝手が悪くなったり、動作が重たくなって更新に遅延が起きることがあります。業務効率が低下することで、自社だけでなく、顧客への影響が発生することもありますので、顧客や社内へも目を配りながらリニューアルするタイミングを見極めましょう。

運用コストが高い

運用コストが高く、見直しを図るタイミングがあるでしょう。サーバ運用・保守、サービス利用手数料、開発会社への支払いなど必要以上に費用がかかっていないでしょうか。旧ECサイトをこのまま数年使い続けた時の収支予測と、新システムに移行した時の収支予測を比較してみましょう。

機能の不足

ECサイトの規模が大きくなると、自社や顧客の要望を満たすための機能が足りなくなることがあります。みなさんの利用されているEC構築システムではできない集客施策、顧客管理方法、決済サービスや、外部連携サービスが登場してきていることと思います。ASPなどクラウド版サービスでは、機能アップデートやプラグイン追加で機能を補足することは可能ですが、プラットフォーム側の裁量ですべて決まってしまうため、いつ廃止されたり更新停止になるかわかりません。

デザインが古い

ECやWebサイトのデザイントレンドは日々目まぐるしい勢いで変わっていきます。顧客ニーズにマッチさせるために、いざデザインをリニューアルしようとしても、システム全体が古いとデザインの大幅なリニューアルが難しくなってきます。膨大にあるページを手作業でデザイン改修を入れていくとミスや抜け漏れも起こり、サーバの負荷も大きくなってしまいスピードが落ちてしまうことがあります。消費者目線でも、デザインが粗かったり古くさいと、サイト滞在時間や再訪問率が低下することになるのは明らかです。消費者の目に見えるサイトデザインが、その企業のブランドイメージに直結します。デザインのリニューアルは経営方針と言っても過言ではありません。

スマホ対応ができていない

サイトがスマホ(SP)対応していない場合は、早急にリニューアルが必要です。現在ではEC業界全体でスマホ経由の流入や購買がPC経由を大きく超えており、スマホ対応ができていないことがもはや致命的な問題です。SEO対策の観点でも、モバイル未対応ではGoogleの検索結果に悪影響が出てしまう可能性があります。

企業イメージやブランドを大きく変更したい

WebサイトやECサイトと、運営会社のブランドには密接な関係があります。経営者の交代や新しい経営計画の発表などと合わせて、サイトをリニューアルするケースは多くあります。会社の顔とも言えるECサイトのデザインを刷新して、企業イメージや好感度を高める目的で行われます。
従業員が100〜300名を超える企業になると、年間の予算策定のタイミングが決まっています。経営方針と連動したサイトリニューアルの場合、こうした予算取りにも合わせやすく、社内的にはプロジェクトを進めやすいタイミングと言えるでしょう。

売上やKPIの数値が低下している

既存ECサイトの売上や訪問者数が年々低下しているタイミングは、リニューアルに向いています。業績が悪化している原因は、サイトのユーザビリティの低さや、商品やコンテンツの問題などが複合的に関わっており、一概にECサイト自体に問題があるとも言い切れません。しかしそのまま放置していても、売上が伸び悩むだけであり、いますぐ対策を打たなければいけません。原因分析をした結果、サイトのUI・UXが影響しているようであればリニューアルを検討すべきでしょう。

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ECサイトリニューアルの成功のためのポイント

さて、サイトリニューアルのタイミングが分かったところで「実際に費用と工数をかけてリニューアルしても、改悪したらどうしよう」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
ここからは失敗しないためのチェックポイントを見ていきましょう。

リニューアル目的と与件を明確に決める

まず、ECサイトをリニューアルする目的・与件を明確にしましょう。うまくいかないプロジェクトの大半がこれらを曖昧なままにしています。暫定でも構わないので、リニューアル後の成功の定義、納期と予算も明確にしておくことで、プロジェクトがスムーズに動き出します。具体的には下記の点をクリアにしていくこと重要です。

なぜ、今、リニューアルをしなければならないのか

既存のECサイトでも売上が上がっているし、運営は問題ない場合でもECリニューアルのプロジェクトが発動することがよくあります。経営陣からの指示や取引先との関係性という理由も中にはありますが、多くの場合は、既存のサイトだと会社が目指す目的や目標が達成できないと判断した為です。

たとえば、3年後に年商10億円の目標を追いかけると決まると、今からどのくらい顧客数、客単価、商品数を増やさないといけないのか、いまのECサイトの機能で充分なのか、などを検討しはじめます。リニューアル後の具体的な目標KPIやゴールイメージがないプロジェクトは、成否の振返りができません。この点を明確にしておくために、既存ECサイトの現状を分析・把握しておくことが必要不可欠です。

リニューアルにかける予算、制作期間はどのくらいか

ECサイトの企画が決まったら、現実的なお金とスケジュールを詰めていきます。 ここでは、売上目標・制作予算・制作期間の3つを検討します。

1)売上目標
3年後にどのくらいの売上をつくりたいかイメージを持っておくことが大切です。売上目標が決まれば、商品の仕入額や送料、梱包費などの原価を差し引いた利益が見えてきます。
システム関連費用が売上に対して何%くらい発生するのかを知っておきましょう。

2)リニューアル予算
サイトリニューアル全般にかかる予算上限を決めておきましょう。そのためにある程度の要件が固まったタイミングで事前に見積もりを取っておくとよいでしょう。社内の上層部から下りてきた予算の中で考えてしまうと、どうしても当初の目的が達成できず、マイナーチェンジに終わってしまいがちです。必要に応じて追加予算を計上できるようにしておくとよりよいでしょう。

サイトリニューアルはオウンドメディアやSNSなどECサイト周辺のリニューアルも合わせて検討できる良い機会でもあります。リニューアル全体にかかる最大予算を試算して、その中から松竹梅で3プランほど比較検討してくのもよいかもしれません。
低コストでスタートでき、事業規模にあわせて機能追加やカスタマイズできるEC-CUBEで構築していた場合はリニューアルコストを削減できます。

3)制作期間
サイトリニューアルの場合、最低でも1ヶ月〜6ヶ月ほどのプロジェクト期間を見積もっておきましょう。要件定義をできるだけ詳細に行い、関係者間で合意形成ができていれば、その後の工程はスムーズに進みやすくなります。要件定義やゴール設定があやふやだと、幸先よくスタートしても途中でプロジェクトが停滞してしまうことも起こりがちです。

リニューアル後の目標イメージを明確にする

リニューアル後の成果目標として「1年後までに平均月商を30%アップする」「新規の購入者数を2倍にする」といった具体的なKPIを置くことが重要です。しかしECサイトで大事なネットショップの世界観やコンセプトはKPIに落としこみづらいものです。そのため、きちんと言語化し、プロジェクトチーム内で共有しておくことを推奨します。

  • ECを通じてどのような世界観を実現したいのか
  • お客様に何を最優先に提供したいのか(スピード、探しやすさ、情報量、など)

といったコンセプトや強みが決まっていないと、ECサイトの制作過程で頓挫しやすくなります。サイトリニューアルに取り掛かる前にしっかりとECサイトの核となる部分を整理していきましょう。そしてリニューアルデザインがあがってきたタイミングで、世界観がきちんと体現できているかを議論してください。

基幹システムやクラウドサービスと連携できるかを確認する

社内の基幹システムやクラウドサービスと連携できるか、を確認しておきましょう。顧客情報、商品在庫データ、広告配信データなどはECシステムだけで完結できないことが多くあります。社内の基幹システムのデータベースとの連携や店舗運営に利用している各種クラウドサービスとのAPI連携ができるプラットフォームを選定することが重要です。システム間連携ができないと、追加の開発費用が想定外に発生してしまいます。

経営と現場、顧客の意見をつなぐ

サイトリニューアルの企画段階で、経営層・現場・顧客の3者の意見を汲み取りましょう。
経営層から予算や仕様のおおまかな要望が聞けても、実現が難しいケースや顧客のニーズと乖離している場合が多くあります。経営要望も汲み取りつつ、顧客のためのサイトリニューアルであることを忘れないようにしてください。

また、EC担当者やシステム部門の作業負担、管理コストも大事な観点です。顧客の意見を実現しようとするあまりに担当者の負担が大きくなり、トラブルやミスが多発するリスクもあります。また、サーバーの負荷も高くなり、遅延や障害発生にもなりかねません。

3年後の事業・サイト規模を見据える

プロジェクトが走り出すとECサイトをリニューアルすることがゴールになってしまいがちですが、3年後に事業やサイト規模がどうなっているかを予測することが大事です。

2020年以降、コロナ影響による「巣ごもり」やテレワーク需要の拡大を受け、業績を大幅に伸張/減少した事業者が多かったのではないでしょうか。このトレンドがしばらく続くのか、コロナ前に戻るのか。新しい生活様式が浸透すると、どんな商品の需要が増えるのか。3年後に事業規模はどの程度になっているのか。こうした事も具体的なイメージ・数字に落とし込んで考えることをおすすめします。

また、将来的に自社ECサイトだけでなく、ECモールにも出店していくのか、アプリ開発も考えているのか、などは経営層や他部門にもヒアリングして、事前に社内の方針を確認しておくとリニューアル後がスムーズになります。

ECサイトリニューアルの手順

ここまでで、リニューアルで押さえておくべきポイントをお伝えしてきました。ここからは、実際にどんなステップでリニューアルを進めていけばよいか、手順を解説していきます。

1. プロジェクトチーム発足

まず、ECサイトリニューアルに関わる主要メンバーを集めたプロジェクトチームを発足します。チームメンバーをアサインする旗振り役は、経営層または管理職が望ましいでしょう。決裁権限を持つ人物がプロジェクトチームにいることで、メンバーも動きやすくなるためです。
担当役員または管理職、既存ECサイトの運営者、デザイナー、エンジニア、社外ベンダーなど10名前後のチームになることが一般的でしょう。あまり大人数になると意見がまとまらないため、各部門の代表者1〜2名のアサインが望ましいかと思います。

チームメンバーが決まったら、プロジェクトオーナーと担当(PIC)を決めます。特にオーナーの決定が重要で、最終的に誰が意思決定をするのか、どのような承認ステップが最適なのかを決めておくのが重要です。サイトの要件定義や方針決定をする事項が増えてくると、合議制で決めているとスピード感や品質担保が難しくなってきます。オーナーシップを持った特定の人物が必ずいる状態を作りましょう。

2.サイトの企画

プロジェクトチーム内でECサイトの企画やコンセプトを決めていきます。前述の「リニューアル後の目標イメージを明確にする」でも解説した通り、どのようなサイトにしたいのかを言語化し、目標となるKPIも決めておきましょう。

Before(現在)とAfter(将来)で比較をして、変わる部分、変わらない部分を視覚的にクリアにすることで関係者で共有しやすくなります。この時点ではワイヤーフレームを作成せず、ホワイトボードやキャンバスなどを使いながら、大きな方向性を決めておくだけで十分です。サイト要件とシステム要件、それぞれでどこを変更したいのか、明確にしていけるとさらによいでしょう。詳しくは後述します。

3.ベンダーの選定

サイト開発やデザインを内製化できない場合は、ベンダーに委託をします。しかし、世の中に数え切れないほどWeb制作会社があり、どのように1社を選定すればよいかは悩ましいものです。
そこで、ベンダーの選定ステップを簡単に紹介していきたいと思います。

リストアップ

ECサイトのリニューアルの要件を満たせそうな企業をインターネットやクチコミで検索し、3社程度をピックアップします。その際に、RFPや仕様書などがあると説明の手間が省け、各社に共通の情報を共有できるので便利です。ベンダーのWebサイトや会社概要資料などを見るのと同時に、こちらで実現したいこと・予算・納期を具体的に伝えるようにしましょう。この時点で条件に合致しない開発会社は、検討候補から外れます。

コンペ

リストアップしたベンダーに対して、提案を求め、コンペを開催します。「見積もりのみのコンペ」だと、ベンダー側がどのような体制、業務品質、対応姿勢なのかが見えてこないので、危険です。商談の場をセットして、プレゼンテーションをしてもらい、こちらからも聞きたい内容を質問できるようにしておきましょう。
過去に制作したサイト実績や、プロジェクトの進め方、コミュニケーションの取り方なども確認しておけると尚良いです。

最終決定、契約

各社からの提案・見積りが出揃ったら、社内で検討会議を行い、選定を行います。対応範囲、クオリティ、コミュニケーションのしやすさ、納期、価格などの項目に分けて、1つずつ評価していきましょう。最終決定した後には、契約書や発注書、NDAは必ず締結するようにしてください。

4.要件定義

サイト要件、システム要件の定義

ECサイト制作においてのサイト要件とは、サイトマップ、各ページの構成やレイアウト、TOPページ/下層ページのデザインなどです。
システム要件には、決済手段、受注管理、カート、定期購入などの機能面や、カスタマイズのしやすさ、サイトの速度、セキュリティの堅牢性などが含まれます。

事業者(発注者)側で決めた要件を、ベンダー側に提示して実行可否の相談やスケジュールを詰めていきます。この際に旧サイトの仕様や、ビジネスそのものをベンダー側に理解してもらわないとなりません。単純にやりたいことを伝えるだけではなく、背景や目的、優先順位もセットで伝えていきましょう。

サイト企画構成・ワイヤーフレーム作成

サイト要件・システム要件の定義書ができたら、ベンダー側にECサイトの企画構成と、ワイヤーフレームを作成してもらいます。予め自社でラフのワイヤーフレームを作成しておくと認識のズレが少なくなり、双方にとってメリットがあるでしょう。

企画構成とワイヤーフレームを見ながら、サイト要件とシステム要件が満たされているかをチェックしていきます。システム要件はビジュアル化や言語化が難しく、言葉の定義も事業者とベンダーで異なることがあるため、入念に確認することをおすすめします。

5.デザイン、コーディング

ワイヤーフレームに沿って、デザインとコーディングを進めていきます。この段階ではボールはベンダー側に渡っているのですが、途中経過を確認しながら、認識のズレが無いようにステージング環境やモックアップツールで確認できるような運用をしていくとよいでしょう。

デザイン・コーディングはサイト速度やSEOにも関わる部分なので、HTMLとCSSの基礎知識がある方がレビューできることが望ましいです。
リリース後の運用やサイト更新を自社でやる場合、ベンダー側にマニュアルも合わせて作成してもらうと尚良いと思います。

6.リリース前準備

最終リリース前にやることとして、データ移行、テスト運用、その他リリース前チェック作業があります。具体的には、リンク先にきちんと遷移できるか、外部システムとの連携に不備がないか、ドメインやURLが変更になる場合のリダイレクト設定がされているか、PCとスマホで表示崩れがないか、といったことです。

また、リリース前には必ず顧客や関係者に事前告知をしておき、遅延が発生する場合もできるだけ早く伝えておくようにしましょう。サイトリニューアルに合わせて、プロモーションやシステム移行をするケースもあるので、各部署やベンダーとチェックリストを共有して、確認作業を進めてください。

無事にリリースができたから終了というわけではなく、運用・保守体制をきちんと回さないとなりません。リリース後はしばらくサイトの状況を細かく観察して、小さな異変に気がついたら関係者にエスカレーションするようにいたしましょう。

ECサイトをリニューアルする際の注意点

ここまでで、ECサイトリニューアルの手順はイメージできたでしょうか?次に、リニューアル時の注意点を解説します。要件確認、スケジュールの遅延、顧客からの問い合わせなど、リニューアルするにあたりトラブルに繋がるポイントがいくつかあります。

要件定義漏れ

トラブルに最も繋がりやすいのが要件定義漏れです。同時に、要件定義はもっとも難易度の高い業務でもあります。要件定義が遅れるとデザイン・コーディングやコンテンツ制作も遅れ、リリース自体が遅延してしまいますが、「このくらいでいいか」と手を抜いてしまうと後から様々な問題が浮上してきます。社内の各部門や経営層、ベンダー側と合意できていないと、あとから再検討が重なり、リリースが遅れていきます。 また、旧サイトでは実装されていたことが、新サイトに実装されていなかったり、データが引き継ぎされていないことで、購入者(お客様)にも悪影響を与えてしまいます。
要件定義漏れを起こさないために、他部署やベンダー側に詳細の仕様設計を丸投げせず、プロジェクトチーム内で要件定義をしっかり行い、リリースまでにテスト検証を重ねていきましょう。

開発スケジュール遅延

ECサイトリニューアルのスケジュール遅延の主な要因としては、要件定義漏れと工数見積もりミスが挙げられます。リリース前に要件定義漏れが発覚すると、漏れている仕様の洗い出し、社内承認、テストなど様々なタスクが追加で発生して、プロジェクト全体の進行を妨げてしまいます。
また、要件には含まれていても、想定以上の開発工数がかかってしまいスケジュールが遅延するケースも少なくありません。バッファを持ったスケジュールで工数を見積もること、想定外の事態が発覚した場合にもリカバリーできるプランを用意しておくことが重要です。
そうは言っても、短期間でプロジェクトを完了しないといけなかったり、要望やニーズが目まぐるしく変化し続けるようなプロジェクトの場合もあります。その際はβ版でリリースをして、後から仕様を追加実装していくようなアジャイル開発を行うことも選択肢の1つです。

追加費用の発生

要件定義漏れや追加工数の発生により、費用が見積もりよりもオーバーしてしまうケースです。開発会社への発注内容、仕様の確認が曖昧なことが原因となります。例えば「ページデザイン」はどこからどこの範囲までを指すのかを確認したり、仕様が変わったタイミングで見積もりを取り直したりすることで、極力リスクを減らすことができます。
予め予算の上限をベンダーに伝えておき、予算がオーバーしないようにコントロールしてもらうのも1つの対策です。
もう1つ注意すべき点としては、リニューアルにかかる初期費用とランニング費用(月額)があることです。どの作業内容が初期費用に計上されるのか、支払いはいつなのかなどを、管理しておくことをおすすめします。

売上、KPIの低下

「サイトがリニューアルしたら、売上や各KPIが改善されるはず」と思い込んではいないでしょうか?必ずしもそうではなく、ユーザにとって使い勝手が悪くなることや、システムトラブルや障害で、一時的に売上が低下するリスクもあります。事業計画を立てる際にも、リニューアル直後から業績が向上しない可能性も視野に入れておくべきでしょう。また、KPIの低下や異常値が見られたら、すぐに原因を追求して改善を行うことが重要です。
リニューアル後の目標値(予測値)が定まっていれば、中長期的に目指す場所が社内でも共有でき、一時的な数値低下でも不安にならずに進めることができます。

顧客からの問い合わせ対応トラブル

サイトリニューアルに伴い、「会員ログインができない」「商品の購入ができない」「過去の購入・閲覧データが引き継がれていない」など、顧客からのクレームや問い合わせが増える懸念があります。こうしたトラブルを撲滅することは難しく、どうしても一定数は発生してしまうでしょう。そのため、リリース後にはトラブル対応ができる体制を構築しておきましょう。すぐに改善・復旧ができるだけでも、顧客の信頼は回復できます。しかし、いつまでもトラブルを放置されてしまうと長期的な会社の損失に繋がります。サイトのリニューアルが完了してからの運用もしっかり検討しておくべきでしょう。

リニューアル前にやるべきこと

最後に、ECサイトのリニューアル前にやるべきことをおさらいします。意外と抜け落ちてしまう重要な箇所のみをピックアップいたします。下記をご一読ください。

旧サイトの課題整理

これまでのサイトの課題整理をまず行いましょう。旧ECサイトのどの点に課題があったのか、その原因は何だったのか、を整理してください。例えば、リピート率が低いことと、カゴ落ち率が高いことでは課題の原因も大きく変わってきます。これらを言語化しておくことで、関係者にも共通認識を持ってもらうことができ、改善前と改善後の違いを明確にイメージしやすくなります。
課題が整理しきれていない状態でサイトリニューアルが進んでしまうと、表面的なデザイン変更や機能追加のみで終わってしまい、本質的な課題解決にはなっていきません。

リニューアル目的の確認

サイトリニューアルをする目的や背景と、リニューアルで何を実現したいかを社内で確認しておきましょう。特に経営層やキーマンへのヒアリングと確認は重要です。開発が進む中で目的が変化してくることもあります。プロジェクトのキックオフ後に壁にぶつかったときは、リニューアルの目的と目指すゴールを再確認しておくとよいでしょう。また、目的や背景はきちんとベンダーにも共有しておくことで迷いが減り、開発のスピードとクオリティを高めることにも繋がります。

社内・社外との合意形成

社内と社外の主要関係者間で、プロジェクトの要所の合意形成を行いましょう。リニューアルを進めていくと、社内で合意できていること、合意できていないことが管理できなくなってくることがあります。また、次第に忙しくなってくると、1つ1つの細かい作業を承認している時間的余裕がなくなっていきます。そのため、どの範囲まで担当者に裁量があるのか、どのタイミングで合意形成をしておくとスムーズにプロジェクト進行できるのか、を確認しておきましょう。社外ベンダーとの連絡・共有においても、合意形成の履歴は残しておくことが望ましいです。後から言った/言わないのトラブルになる懸念があります。

顧客・関係者への事前告知

ECサイトをリニューアルする前に、顧客向けには事前告知しておきましょう。事前告知が遅れると、サイトリニューアルに伴うトラブルが発生した際にハードクレームにつながる可能性があります。また、社内の関係部門にも事前に共有しておくべきです。リニューアルで影響がありそうな担当者には、直接リニューアル内容を伝え、懸念事項をヒアリングして吸い上げておくのがよいでしょう。
コーポレートサイト、SNS、プレスリリースなど複数のチャネルで告知をすること、新サイトへのトラフィック増加にも繋がる可能性があります。

リニューアル後の目標設定

どのような指標を改善したいのか、どこまで到達できると目標達成なのか、を定量的・定性的に設定しておきましょう。定量的にはサイト訪問者数、CVR、滞在時間、特定商品の購入件数など、いくつかの指標を用意しておくことが望ましいです。定性目標の例としては、「リニューアル後のお客様レビューで、こんな声をいただきたい」「大きなクレームや配送遅延がない状態」などです。大事なのはリニューアル前に対して改善が見られるかどうかです。完璧すぎる目標や、高すぎるゴールはサイトリニューアルだけで実現できません。達成可能な目標を設定するのをおすすめします。

成果のモニタリング体制

リニューアル後の変化を定量・定性でモニタリングする仕組みづくりも必要です。自動でデータ集計できる仕組みをSQLで構築したり、定期的にレビューや顧客アンケートを実施・分析する担当を設置したりすることからはじめてはいかがでしょうか。
経営層にも、サイト状況の報告を求められることがあるので、リアルタイムで数値を共有できる仕組みがあると、担当者の負担も減らせるでしょう。

まとめ

この記事では、ECサイトの規模が徐々に大きくなりリニューアルを検討している事業者さま向けに、ECサイトリニューアルの手順、注意点などを解説してきました。この記事でご紹介したようなポイントを踏まえて、いよいよリニューアルの準備が整ったら、どのプラットフォームを選ぶか具体的に検討していきましょう。

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この記事を書いた人

株式会社イーシーキューブ

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