ECサイトの構築ガイド/作り方と手順や費用もご紹介
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「これからECサイトを構築することになったが、何から手をつけたらよいかわからない」
「ECサイトをリニューアルすることになったが、どのパッケージを使えばベストなのかわからない」
「ASPカート、パッケージ、オープンソース、フルスクラッチの違いや特徴がいまいち理解できていない」
とお悩みのご担当者は多いのではないでしょうか?
この記事ではECサイト制作・構築のステップ、よくある困りごとと対策などを解説していきます。ECサイトをこれから立ち上げる予定の方、リニューアルを検討している方にとって何かひとつでもお役に立てば幸いです。
目次
ECサイトの種類とメリット・デメリット
ECサイトの構築方法には、大きく分けて「自社EC型」と「モール型」があります。それぞれの特徴と、メリット・デメリットをまとめました。
自社EC型 | モール型 | |
---|---|---|
特徴 | 独自ドメインを取得し自社でECサイトを構築・運用する。 | 複数の店が集まるモールの中にお店を出店する。モールの代表として楽天やAmazonなどがある。 |
メリット | ・顧客データなどデータを活用しやすい ・自社ブランディングを高めることができる ・オリジナルデザインを展開しやすい |
・モール自体に集客力がある ・出店サポート、集客サポートなどの支援やドキュメントが充実している |
デメリット | ・集客やマーケティングを自社で行う必要がある ・結果が出るまでに時間がかかる |
・出店や運営に手数料や費用が発生する ・競合と比較されやすい ・オリジナリティを発揮しにくい |
メリット・デメリットを理解して、自社にあった構築手法を選択しましょう。
EC-CUBE公式アドバイザーが、ツール選びからサイト制作、マーケティング・セキュリティの領域までアドバイスいたします。ご相談窓口はこちら
規模別ECサイトの作り方
ECサイトはその規模によって最適な構築の仕方が異なります。ここでは個人で作成する規模のECサイトと、企業として作成する規模のECサイトとの違いを解説していきます。
1.個人で制作する場合
個人でECサイトをはじめるにあたり、準備しておくとよいものは下記になります。
- 開業届
- 青色申告承認申請書
- ECサイト全体設計図(手書きイメージでもOK)
- レンタルサーバー、ドメイン(ASPの場合は不要)
- 商品サンプル
- 撮影機材(カメラ、照明、など)
- 画像編集ツール(Photoshopなど)
- 梱包素材
- 同梱物(チラシ、パンフレットなど)
詳細はこちらの記事をご参照ください。
これらが揃ったらいざネットショップをスタートしようとしたくなりますが、大前提の「企画」が最重要です。ECサイトを制作する上で、多くの人が具体的な機能やデザイン、収益計画からスタートしがちです。それも間違いではないのですが、後から「そもそも何がしたかったのか?」があやふやになり、ECサイト全体が混沌としてしまうことがよくあります。統一感のない商品が並び、バナーやリンクが多数貼られている雑多なECサイトを見かけたことはないでしょうか?せっかくECサイトを制作するなら、数百万あるネットショップの中からお客様に選んでいただきたいですよね。
そのためにはまず、次の手順でECサイトを「構想する」ことから始めることをお勧めします。
- ステップ1:どんなECサイトを作りたいのか?何を実現したいのか?
- ステップ2:ECサイトの作成期間、予算はどのくらい使えるのか?
- ステップ3:その上で、どのツールを使用してECを制作するのが現状ベストか?どんな機能が必要か?
この3つのステップ順序を守らないと、後で想定以上に費用や時間がかかってしまうことがあります。ひとつずつ解説していきます。
ステップ1:どんなECサイトを作りたいのか?何を実現したいのか?
ECサイトを始めようとしている皆さんは、下記のような質問にきちんと回答できるでしょうか?
「どんなお客様に対して、どんな商品・サービスを提供したいのか?」
「商品の販売を通じてどのような世界観(課題解決)を実現したいのか?」
ECサイトでの売上目標や、どんな商品を売りたいかのイメージはあるものの、事業ビジョンやお店のコンセプトが決まっていないと、ECサイトの制作過程で頓挫しやすくなります。店舗運営責任者は、サイト構築に取り掛かる前にしっかりとECサイトの核となる部分を5W1Hのフレームで整理しておきましょう。コンセプトが後から変わる分には問題ありません。
ステップ2:ECサイトの予算、制作期間はどのくらい使えるのか?
ECサイトの企画が決まったら、現実的なお金とスケジュールを詰めていきます。
ここでは、売上目標・制作予算・制作期間の3つを検討します。
1)売上目標
個人ECサイトの場合、個人差はありますが月商で数十万円〜数百万円程度が相場と言えるでしょう。直近2〜3年でどのくらいの売上をつくりたいかイメージを持っておくことが大切です。売上目標が決まれば、商品の仕入額などの原価を差し引いた利益が見えてきます。 システム関連費用が売上に対して何%くらい発生するのかを知っておきましょう。
2)制作予算
個人ECの場合、「まずはできるだけ費用をかけずにでECサイトを始めてみたい」「実験的に商品をECサイト上で売ってみたい」という方がほとんどだと思います。初期費用が無料、月額費用も数万円以内に抑えるのがよいでしょう。
3)制作期間
どのくらいのこだわりを表現するかで変わってきますが、サイト制作期間の目安として1週間〜1ヶ月ほど見積もっておきましょう。無料ASPで作成する簡易的なショッピングサイトであれば、最短1日でもつくれます。
ECサイトはリリースしてから継続的に更新をしていくため、リリースまでに時間と労力を要するフルスクラッチ型のサイトは個人には向いていません。まずは小さくショップをオープンして、徐々に商品数を増やしていくことが一般的です。
ステップ3:その上で、どのツールを使用してECを制作するのが現状ベストか?どんな機能が必要か?
ステップ1と2を踏まえ、どのEC構築サービスを使用するか、どの機能を実装したいかを決めます。必要な機能が先に決まれば、使うツールも決めやすいですが、現実的にはなかなか初期に想像がつかないものです。
お手頃に始める個人ECサイトの場合は、コストと機能性の観点で言えば、BASEやSTORESなどの無料ASP一択になると言えるでしょう。制作期間も1週間〜1ヶ月あれば十分です。
ASPはECカート(購入・決済)機能がメインのため、機能カスタマイズ性が低く、デザインも自分でアレンジする必要があります。ホームページやオウンドメディアを別で用意し、商品購入用にECサイトを用意するケースもよくあります。
ASP以外にも、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールECへの出店も選択肢としてアリでしょう。集客しやすく、各種機能も実装されている手軽さはありますが、出店審査があることや毎月固定で発生するシステム手数料などを考えると割高になることも多いです。
その他に個人でECサイトを構築する場合に、事前に準備しておくべきポイントとして、下記の点が挙げられます。
決済方法の準備
現代ではオンラインショッピングの決済手段は多岐に渡ります。
主なところでは「クレジットカード払い」が60.9%*です。
*出典:消費者庁「オンライン決済、スマホ決済の動向整理(2016年6月30日)」資料より
ニーズが高い決済方法を用意しておくと購入機会の損失を防ぐことも可能です。とはいえ、無理に決済手段を多く用意するのも運営費用に負担がかかるため、無理のない範囲で可能な限り各種決済方法を用意する事をお勧めします。各種決済方法を利用してもらうためには、お店から決済代行サービス提供事業者への申込みが必要です。
配送方法の検討
ECサイトでは販売者の顔が見えない分、消ここではECサイト運営者に人気の高い配送業者の一例とサービス内容をご紹介いたします。
ECサイトの構築方法
ASP型の場合、カスタマイズできる箇所が少ない反面、設定項目が非常にシンプルです。コーディングやデザインの知識不要で設定が完了できます。手順としては下記になります。
1)ASPサービスの選定、会員登録
EC構築に利用するASPを決め、公式サイトから会員登録を行います。
2)事業者情報、ショップ情報、決済方法などの設定
ショップのURLや運営者情報、支払いや返品に関する特記事項を記載します。
決済方法は、クレジットカード決済がメインとなります。
3)各種機能追加、システム連携
レビュー、クーポン、メルマガ、顧客管理、SNS・ブログとの連携が可能です。個人ECであれば、集客やデータ分析もASPの機能で十分と言えるでしょう。
4)商品登録、デザイン
販売したい商品の登録、商品名や説明文の入力を行います。
商品のサムネイル画像・TOPページ用バナーなどのデザイン制作にこだわりたければ、クラウドソーシングなど外注をうまく使いこなしましょう(自社でデザインができない場合)
おすすめのECサイト構築サービス(ASP型カートシステム)
個人で手軽にECサイトを制作したい場合におすすめのEC構築サービスをご紹介します。
BASE | STORES | Shopify | MakeShop | |
---|---|---|---|---|
プラン | - | フリープラン | スタンダード | プレミアム |
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 10,000円〜 |
月額費用 | 0円 | 0円 | 29ドル | 10,000円〜 |
決済手数料 | 3.6%+40円 | 5% | 3.40% | 3.19%〜 |
サービス利用料 | 3% | 0円 | 0円 | 0円 |
BASE
BASEは初期費用・月額費用ともに無料で、クーポンやメルマガ、顧客管理、SNS連携などの拡張機能も無料で利用できます。売上に応じて決済手数料とサービス利用料が発生しますが、もっとも低コストで開始できるネットショップ構築サービスの一つ。「BASEかんたん決済」でクレジットカード決済、銀行振込、コンビニ決済、キャリア決済など幅広く対応できるが特徴です。
STORES
ヘイ株式会社が提供するSTORES(ストアーズ)は初期費用・月額費用ともに無料で始められるASPサービス。決済手数料は5%。無料でんでもアイテム登録数が無制限なので、商品点数が多い雑貨や小物のお店におすすめです。
Googleアナリティクスや広告タグが簡単に設置でき、集客用のデータ分析が初心者にもしやすい設計になっています。スタンダードプランから月額費用が有料になります。
MakeShop
GMOグループが提供するMakeShopは、ASPカートシステムの中でも最大手。流通総額も業界トップクラス。初期費用が10,000円(税抜)、月額費用が10,000円(税抜)のプレミアムショッププランと、初期費用が100,000円(税抜)〜、月額費用が50,000円(税抜)〜のMakeShopエンタープライズという大型ショップ向けプランがあります。SEOなどの集客対策機能も充実しています。
Shopify
Shopifyは2004年創業カナダ発のEC構築サービスで、2021年現在時価総額は10兆円を突破しています。2017年に日本市場に参入し急速に利用企業が増えています。月額料金プランは、ライトは9ドル、ベーシックが29ドル、スタンダードが79ドル、プレミアムが299ドルです。
ASPは手軽に始められる一方で、サイトの規模が大きくなると柔軟に対応ができなくなります。
無料ASPにはない機能を使うために別システムに移行する場合、ドメイン(URL)を変更しなければならないというリスクと手間もあります。当面は個人活動としてECサイトを運営していく程度であれば問題ありませんが、年商で数千万円〜1億円規模に拡大を目指すのであれば、無料ASPカートはおすすめできません。短期的に運営する場合や、小規模にやっていく場合は無料ASPカート、本格的な事業として考えているのであれば有料ASPカート又はクラウドECなどを検討するのがよいでしょう。
販売許可証は必要なのか?
個人事業主としてECをやる程度なので、販売許可証は特に必要ないだろうと考えている方も多いのではないでしょうか?
実際には、通信販売でも販売許可の取得が必要なケースがありますのでご注意ください。該当する販売商品の代表例は下記の通りです。
商品ジャンル | 必要な販売許可など |
---|---|
中古品 | 古物商 |
食品 | 食品衛生責任者 食品衛生法に基づく営業許可 |
酒類 | 通信販売酒類小売業免許 |
化粧品 | 化粧品製造業許可 化粧品製造販売業許可 (OEMの場合は不要) |
輸入品 | 農林水産省、厚生労働省の検疫所でチェック |
たとえば、日本国内で食品を販売する場合、食品衛生法に基づく営業許可の取得が必要とされます。しかし、すべての食品が該当するわけではありません。
下記のような、通販でよくあるお菓子やドリンクは対象外なのでご安心ください。
- 許可のある企業が製造した、パック入りの商品を販売
- 仕入れた菓子をそのまま販売する場合
- 缶やペットボトルに入った飲料を仕入れ、そのまま販売する場合
2.企業で制作する場合
企業でECサイトを制作する場合の流れも、個人で制作する場合と基本的には同じです。ただし、法人企業がECサイトを構築する際には、より大規模なプロジェクトになること、影響範囲が大きいこと、社内外の多くの関係者を巻き込んで進める点が、個人制作との相違点になります。また、実現したいことが多岐に渡り複雑化しやすいので、決済機能をメインで提供するASPカートではニーズを満たせないケースも出てきます。
それではここから、企業のECサイトを制作する場合の手順を見ていきましょう。
1)販売戦略の策定、社内体制の構築
売上計画やアクセス数・転換率・客単価などのKPIをおおまかにシミュレーションします。このタイミングで、社内のEC運営体制も整備しておくことがおすすめです。プロデューサー(運営責任者)1名、商品企画・マーケティング1名、エンジニア1名は最低確保しておきたいところですが、社内のリソース状況次第で外注パートナーのアサインも視野に入れておきましょう。
2)サイトコンセプト決定
前述の個人ECサイト制作と同様に、サイトコンセプトを決定します。企業によっては、複数のブランドや商品をECで販売している場合があり、他ブランドとの統一や差別化、お客様が混乱しないような棲み分けを意識することも大事です。
3)要求定義
サイトに必要な機能やインフラ面の要件を決めます。ASPやクラウドはサーバーの契約・管理は不要ですが、オープンソースやフルスクラッチは必要になります。
4)販売チャネル、EC構築システム決定
モールECに出店するか、自社サイトを構築するか。どのEC構築システムを利用するか。この2点を決定します。近年では他社EC事業・サイトの買収という選択肢も増えています。
5)制作会社・パートナー選定
サイト構築、運営支援の外注パートナーを選定します。各社コンサルティングや制作支援範囲が異なりますので、できれば3社程度と面談し、相見積もりを取りましょう。自社で不足している知見とリソースは外部調達することをおすすめします。
6)サイトマップ、ワイヤーフレーム作成
サイトコンセプトとビジネス要件に基づき、ECサイトTOPページ配下のページ構成を作成します。ワイヤーフレームは制作会社に作成を依頼することも可能です。
7)デザイン・コーディング
ワイヤーフレームに沿ってデザイン、コーディングを行います。ここで初めて実装後のイメージがわかります。何度もテスト環境で確認し、軌道修正を繰り返しましょう。
8)商品登録
販売したい商品の画像、基本情報、説明文を入力します。主力商品はLPのようなロングページで作り込みをするケースもあります。
9)決済方法・配送方法の設定
各種クレジットカードなどの決済方法の設定、配送方法・配送料の設定を行います。送料無料ラインをどのように定めるかで、事業全体の利益に大きく影響する可能性があります。
10)テスト注文、検証
トップページからカゴまで問題なく到達できるか。表示崩れや漏れがないか、注文完了までスムーズに動くかなどをテスト実施して検証します。
11)リリース
テストが完了したらドメイン設定を行い、本番環境でリリースします。リリース直後のサイトの動き、ユーザーの行動はチェックしましょう。
上記のような工程でECサイトを構築していきます。企業の場合、ECだけで年商が1億円を超えてくるケースも少なくありません。サイト設計やAPI連携などの観点で、ASPやパッケージだとカスタマイズが厳しくなってきます。カスタマイズ性の高さ、拡張性はECシステム選定で重要なポイントです。
ECサイトを構築するならEC-CUBE
Webサイトにショッピングカート機能を追加する程度の構築であれば、ASPサービスで始められます。しかし、継続的に売上アップしていくことを目指していくとなると、自社のこだわりを実現でき、サイトの長期的なカスタマイズ性が高く、かつスピーディーに機能追加やデザイン変更ができる製品を探している企業担当者がほとんどではないでしょうか?
EC-CUBEは、セキュリティ対策をサポートしながら、基幹・各サービス連携も柔軟に行うことができます。
リテラシーの高くないEC担当者のために、EC-CUBEインテグレーターとのネットワークも準備しています。全国に公式の制作パートナー会社を抱え、実績に応じてランク付けがされています。ランクも定期的に更新されているので、鮮度の高い情報を元にパートナー選定ができるのが魅力です。
ECサイトの種類別制作手順
ここまでで、規模別でのECサイトの制作手法の考え方はお分かりいただけたかと思います。
続いて、種類別のECサイトの構築手順を解説していきます。ASP、パッケージ、オープンソース、フルスクラッチの4種類に分けて説明していきます。
1.ASP
ASPとは“Application Service Provider”の略称で、ソフトをインストールしなくてもクラウド上でプログラムにアクセスし、ソフトウェアを利用できる仕組みです。EC業界ではASPカートと呼ばれる、カゴ(購入・決済)機能を中心にした製品・サービスを指します。無料ASPと有料ASPの2種類が存在しています。
Webの知識が無い初心者がネットショプを始める時は、ASPサービスでの構築がおすすめです。機能に限りはありますが、PCの操作に不慣れな人でも使いやすい管理画面が特徴。
さらに初期費用・月額費が無料で利用できるサービスもあり、はじめてのECサイト構築には最適です。国内ではBASE、STORES、Make Shopなどが代表的なASPカートです。
ASPでのECサイト構築手順
さまざまなASPカートがあるため設定方法や構築方法も多岐に渡りますが、どこのASPでも共通した大枠としての構築手順は以下のようになります。
1)会員登録、ショップ基本情報登録
Webサイトから会員登録を行い、ショップ名、メールアドレス、事業者の連絡先などの基本情報を設定します。
2)決済・注文関連の設定
どういった決済方法を使用するのか、手数料の設定などをおこなっていきます。
3)配送関連の設定
配送料金や、どの運送会社を利用するのかなどを設定していきます。
4)商品管理
ショップに出品する商品の登録をおこなっていきます。
5)デザイン
デザインのテンプレートを選択するのみでOKです。テンプレートに沿ってテキストや画像を流し込んでいきます。
かんたんに始められる反面、事前準備を疎かにしてしまうことがよくあります。消費者庁の定める特定商取引法に基づく表示記載は特に注意してください。
2.パッケージ
決済機能、受注管理、デザインテンプレートなど、ECサイトに必要なフロント機能とバックエンド機能がパッケージ化されたソフトウェアです。インストールして、カスタマイズをしながらサイト構築を行います。サイトが成長していくにつれて機能を追加することができ、自由度が高いのが特徴。ASPカートやクラウド型と比較すると、初期導入費用が高いのがネックになります。ecbeing、EC-Orangeなどが代表的な製品です。
年商1億円以上の売上規模がある企業は、パッケージやフルスクラッチでのECサイト構築を視野に入れるのがよいでしょう。
パッケージでのECサイト構築手順
1)インストール・会員登録
Webサイトから会員登録またはソフトをインストールし、ショップ名、メールアドレス、事業者の連絡先などの基本情報を設定します。
2)決済・注文関連の設定
どういった決済方法を使用するのか、手数料の設定などをおこなっていきます。
3)配送関連の設定
配送料金や、どの運送会社を利用するのかなどを設定していきます。
4)商品管理
ショップに出品する商品の登録をおこなっていきます。
5)デザイン、制作
ショップのトップページやサイト内バナー、ロゴなどのイメージ部分を作りこんでいきます。
3.オープンソース
オープンソースとは、ソースコードが無料で公開されているソフトのことで、それを利用して誰もがサイト開発ができる仕組みです。自社の独自運用に合わせたり、基幹サービスなどのシステムと連携をする場合は、オープンソースでの構築をおすすめします。
ライセンス費用無しではじめることができ、プラグインの追加で周辺サービスとの連携ができるので導入ハードルが低いのが魅力です。カスタマイズ性が高いので、売り上げ規模の拡大・縮小にも柔軟に対応できるのが特徴。長期的にECサイトを運営していきたい、しかし先が見通しにくいので初期投資は小さくしたいという企業に向いているでしょう。
代表的なサービスとしては、35,000店舗以上に導入されているEC-CUBEがあります。
オープンソースでのECサイト構築手順
1)レンタルサーバーを契約
ASPと違い、サーバーの契約が必要になります。レンタルサーバーであれば年間数万円の少額で利用できます。
2)ソフトウェアをダウンロード
オープンソースの公式サイトからソフトをダウンロードします。
3)サーバーにインストール、設定
ダウンロード入手したオープンソースをサーバーにインストールします。
ショップ名やURL、データベースの設定などを行います。
4)各種機能の設定、商品登録
デザインテンプレートをインストールしてデザインができます。HTMLやCSSをカスタマイズしてもデザイン制作することももちろん可能です。
4.フルスクラッチ
フルスクラッチとは、独自のECサイトのシステムを一から構築する手法です。
フロントデザインの自由度が高いことだけでなく、在庫管理や物流などのシステム、別システムとのデータ連携、モールECとの連携なども可能になります。年商1億円以上の大規模なECサイト構築に向いています。
独自開発のデメリットは、サーバーやシステムトラブルが起こりやすい点、トラブルの責任を自社で背負う必要がある(ベンダーの責任にできない)点、スピーディーなシステム改修がしにくい点、初期費用コストやメンテナンスコストが大きい点などが挙げられます。サイトが肥大化して、使わない機能やデータが塩漬けされていき、サイトのユーザビリティが低下していくなどの懸念もあります。本当にパッケージ製品では対応できないECサイト以外は、検討の選択肢から外してよいでしょう。
フルスクラッチでのECサイト構築手順
企業でECサイトを制作する構築手順で触れた通りになります。全工程を完了するには、最短でも半年間ほど見積もっておくのが無難でしょう。
1)販売戦略の策定、社内体制の構築
2)サイトコンセプト決定
3)要求定義
4)販売チャネル、EC構築システム決定
5)制作会社・パートナー選定
6)サイトマップ、ワイヤーフレーム作成
7)デザイン・コーディング
8)商品登録
9)決済方法・配送方法の設定
10)テスト注文、検証
11)リリース
一般的には年商1億円が、EC構築システムの判断ラインとなります。
ECサイト制作時の注意点
ここまでで、4つの種類別制作手順を解説してきました。はじめてECサイトを構築する企業や、EC担当になったばかりの担当者は「外部の制作会社にまるっとお願いしよう」と安易に考えがちですが、必ずしもそれが正解ではありません。
いずれの構築サービスもメリットとデメリットの両面があります。担当者が理解しておくべきECサイト制作時の注意点とリスクをご紹介していきます。
1.オープンソースのリスク
オープンソースは初期費用がかからずカスタマイズ性が高い反面、セキュリティ・運用・コストの面でリスクがあります。
セキュリティ面のリスク
ASPやパッケージ型のECと違い、オープンソース型ECサイトのトラブルや不具体はすべて運営者の責任となります。その中でも、情報漏洩などのセキュリティに関する事故が最も大きなリスクと言えるでしょう。
ECサイトで扱う顧客情報には氏名、住所、電話番号だけでなく、クレジットカード情報や決済情報も含まれます。そのため、サイバー攻撃の対象にもなりやすくなっています。
対策としてはセキュリティ機能のアップデートを行い続けること、機密情報を堅牢なセキュリティで管理することなどが挙げられますが、100%防ぐことは難しいというのも事実です。
運用面のリスク
オープンソースで構築したECサイトは、リリース後にも技術がわかる担当者がいないと機能しません。構築時だけではなく運用時の体制も考慮しておきましょう。運用時にも相談に乗ってくれる制作会社を選ぶのもひとつのポイントです。
コスト面のリスク
オープンソース自体は無料ですが、デザインやコーディングの改修が発生しやすいため、結局費用が高くつくこともあります。サイト構築にはWebの知識が必要であり、アップデートのたびに外注に依頼したり、エンジニアが稼働したりする必要が出てきます。
また、オープンソースの場合は、自社でサーバーを契約・管理します。このように、導入費用は無料でもランニングコストが発生するリスクを認識しておいてください。
以上のようなオープンソースのリスクを理解した上で、EC構築をオープンソースで行うかどうか判断をするようにすべきかと思います。
2.制作会社のノウハウの有無
制作会社にECサイトの構築を依頼する場合にもっとも注意すべき点は、ノウハウがあるかです。制作会社のノウハウが浅い場合に、どのようなリスクが想定できるでしょうか?
1つ目は対応の幅が狭く、オーダー通りのカスタマイズができない点です。
過去に同様のサイト制作実績がある制作会社ならスムーズに進行しますが、経験・実績が少ないと「対応できない仕様」が多く出てきます。カスタマイズがしたいので、制作会社に委託したのであれば本末転倒です。正式発注前に、具体的な制作事例やポートフォリオをチェックするのを忘れないようにしましょう。
2つ目はトラブルや追加要件にスピーディーに対応してもらえないことがある点です。
ECサイトにはシステムトラブルが付き物ですが、リカバリーやアフターサポートの速さがユーザーからの信頼に繋がります。
また、将来の要件追加にも対応ができるかを確認しておくべきです。クラウドECやオープンソースであれば、将来の機能拡張を柔軟に行いやすいですが、フルスクラッチで制作しているサイトだと、スピードやコストの手間がかかります。対応できないと言われてしまうケースもあるので、契約期間と対応範囲は事前にクリアにしておきましょう。
3つ目は工数の見立てが甘く、追加費用が大幅に発生する点です。営業段階では安価な見積もりを提示して、受注後に追加要件でコストが膨れ上がることがよくあります。制作会社側のプロジェクトマネジメントの弱さ、想像力の貧弱さが原因です。
上記のようなリスクを回避するためにも、経験・知見があり、他者からの評価が高いパートナー会社を選定したいですよね?EC-CUBEでは全国に公式のインテグレートパートナーがおり、実績に応じてランク付けがされています。また、ランクも定期的に更新されているので、鮮度の高い情報を元にパートナー選定ができるのが魅力です。
3.乗り換え時の注意
ECサイトをリニューアルするタイミングで、システムを乗り換えをする企業も多いのではないでしょうか?
ECシステムのリプレイス時に押さえておくべきポイントには下記があります。
- 顧客情報を正しく載せ替えることができるか
- リピーター様が新しい購入画面でスムーズに購入することができるか
- 新サイトでの使い勝手が改悪しないか
よくある失敗事例を2つご紹介します。
1つ目は、実装したいデザインと機能が多すぎるケースです。新しいシステムに移行して、あれもこれもと機能実装した結果、CX(カスタマーエクスペリエンス)に悪い影響が出てしまうことがあります。ユーザビリティを改善するために、システムを乗り換えたにもかかわらず、サイト全体のCVRや滞在時間が低下してしまっては何も意味がありません。
2つ目の失敗ケースは、リニューアル前のECサイトと全く違うものになってしまうことです。レガシーなデザインから最新のスタイリッシュなデザインへとリニューアルしたものの、結果的にリピーターの方が離脱してしまうことがあります。使い慣れたUI/UXを継承しつつ、不便でわかりにくい箇所を改善することが重要です。
EC-CUBEのクラウド版はシステムのカスタマイズができるため、従来の方法で継承したい機能は残しつつ、カスタマイズすることが可能です。
4.実装要件の確認
新たにECサイトを構築する際も、リニューアルや載せ替えをする際も、要件をしっかり定義することが重要です。では、そもそもECサイト制作ではどんな要件定義が必要なのでしょうか?下記の5点が押さえておくべきポイントとなります
目的・背景
ECサイトといえども、企業における1つの事業です。経営課題、マーケティング課題を解決するために新規制作・リニューアルを行います。どんな課題があり、その原因はどこにあるのか。なぜ、どんなターゲットに対して、どのような手法で、どのような製品を販売したいのか。
これらを明確に言語化しておくことが重要です。社内外で議論を重ねるうちに当初の構想が変化していくものです。EC担当者は、社内外意見を整理し、軌道修正をしながら方向づけをすることが求められます。
サイト要件
どんなデバイスやOSに対応するか、どのようなテイストのデザインにするか、コンセプトはどうあるべきかなどのWebサイトに求める要件をクリアにします。
システム要件
ECサイトに実装する機能や、サーバー・インフラ面での要件を定義します。何を実装しないかを決めるのも重要です。具体的には下記の項目が要件になってきます。
- 決済カート機能
- 受注管理
- 在庫管理
- 売上管理
- 顧客管理
- アクセス解析、データ分析
- 集客、販促
- メール配信
- レビュー、レコメンド
- ブログ、SNS連携
- 経理、帳簿
スケジュール
リリースまでの最短期間と現実的な期間を設定します。甘く見積もるとリリース延期に繋がり、企業として大きな損失になる可能性もあるため、ざっくりではなく詳細な工程に落とし込んでスケジュールをプランニングしましょう。
予算
サイトリリースまでに発生する初期構築費用、ランニングで発生する運用費用、リニューアル時にのみかかるスポットでの費用を見積もります。制作会社と細かいすり合わせをして、松竹梅などのパターン分けで費用を見積もっておきましょう。制作会社が営業段階で、予算を低く提案してくることもよくありますので、MAXプランとミニマムプランは常に把握しておきましょう。
この他に気をつける点は、ECの構築方法によって実装のカスタマイズ性が異なることです。同じ機能だとしても、ASPカート、クラウド、パッケージごとでカスタマイズできる範囲が変わります。
では、フルスクラッチでの構築であれば、いつでもリニューアル・機能追加ができるのでしょうか?決してそういうわけではありません。まず、企業でEC開発に費やせる予算の上限もあるため、要件追加がすべて通るわけではなく、取捨選択が必要となります。またフルスクラッチで外注に制作を依頼した場合、追加作業を迅速に対応してもらえないケースも多々あります。ユーザーや市場の変化が激しい中で、フルスクラッチ仕様だからこそスピード感のある対応ができないというジレンマもあると言えるでしょう。
ECサイトは3年後を見据えて制作・運営する
ここまでで、ECサイト制作時の注意点を理解いただけたでしょうか?ここからは、ECサイトは長期的な視点で制作・運営する重要性を解説しておきたいと思います。
2020年以降、新型コロナウィルスの蔓延、働き方改革の推進、DXの普及など、予想だにしなかった変化の激しい時代に突入しました。このような不安定な時代になぜ長期的な計画が必要なのでしょうか?
VUCA時代だからこその複数のシナリオ用意すべき
「VUCA(ブーカ)」とは「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字を繋いだ言葉で、変化が激しく先が見通しにくい状況を指します。 EC業界でも2020年以降に急速に浸透したステイホームやリモートワークの影響を大きく受け、業績を大幅に伸張した事業者が多かったのでは無いでしょうか。何が売れるか予想がしづらいからこそ、複数の販売チャネル、商品展開をしておくことが一つの最適解になりました。
ECモールにだけ出店していればよい、自社ECサイトは1つだけでよいという考え方から、複数のモールやECサイトを展開してそれぞれのサイトごとにポジションを確立していく考え方へシフトしてきているのではないでしょうか。
連携すべきシステムや機能は日々変化していく
決済機能、受注管理、在庫管理、顧客管理などの基本的な機能だけでなく、連携すべき周辺システムや機能は日々変化していきます。APIによるリアルタイム連携も増えています。商品価格の最適化やモール間での在庫連携の自動化が必要になってきました。
アジャイルに動ける制作パートナー選びを
SaaS型クラウドやASPカートの発展により、ECサイトの多くは自動化されました。しかし、自社でEC運営の内製化、EC人材を確保・育成することが難しくなってきており、外部パートナーとの連携は今後ますます必要になっていきます。
世の中の変化、顧客の変化にアジャイルに対応できるパートナー選びが、ユーザーから選ばれ続けるために重要です。実績や知見が豊富にあるだけでなく、スピーディなサポート体制、最新技術への精通度なども、パートナー選定のポイントにしていくことをおすすめします。
EC-CUBEの特徴とメリット
ここまででECサイトの制作手順や注意すべきポイントを説明してきました。ECサイトを安定的に運営し、継続的に売上を伸ばしていくためには、ECプラットフォーム選びが一つの分岐点になります。選定ポイントは下記に集約されます。
- 必要な機能をスムーズに随時追加できるか
- 海外のパッケージ製品ではなく、日本の商習慣に合っているか
- 受注管理や顧客管理のバックエンド業務がセキュアかつ手軽か
一方で、よくある不満の声としては、
- インストール後のカスタマーサポートが不十分
- 日本語対応が弱い
- オプション機能やプラグインが少ない
- デザイン面や操作性でのカスタマイズ性が低い
などが挙げられます。
これらの課題を解決できる機能を兼ね備えているのがEC-CUBEです。
EC-CUBEは日本発EC構築パッケージとして、国産ならではの管理画面の使いやすさや、規模やビジネスに応じた高いカスタマイズ性により継続的な店舗運営に貢献。
推定35,000店舗以上にご利用いただいている、人気のロングセラーカートです。
EC-CUBEの特徴
国内シェアNo.1 ECオープンソースシステム
月商1,000万円以上のネットショップ利用店舗数No.1のEC構築システムです。
抜群のカスタマイズ性で、商品や販売方法にこだわりをもった個性的なネットショップに多く利用されている「EC-CUBE」は2006年リリースの人気のロングセラーカート。
多くのユーザーの声・ソース提供を元にアップデートされ続けています。
※ 独立行政法人情報処理推進機構の「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」において、EC構築オープンソースとして国内 No.1シェアを獲得しました。
※ ECマーケティング株式会社が行ったネットショップ動向調査において「月商1000万円以上で利用されているカートシステム」利用数にてNo.1を獲得。
豊富なプラグインで拡張性が高く、長期的なECサイト構築に向いている
EC-CUBEでは、ECに必要な基本機能は標準搭載されています。追加機能はプラグインで提供されており、必要な機能だけをコーディング無しで手軽に導入することができます。決済、デザインテンプレート、集客、顧客管理、販促など300種類以上用意されています。
ECサイトは顧客のニーズ変化に適応し続けるために、優先すべき機能が変化していきます。3〜5年の長期スパンで考えると、必要な機能を随時追加でき、不要な機能を手軽に廃止することができるプログラムが求められます。開発コミュニティの活動も活発に行われており、最新機能を搭載したバージョンが順次公開されている点も、担当者にとっては嬉しい点ではないでしょうか。
充実のコミュニティ機能
登録会員者6.4万人が利用するEC-CUBE開発コミュニティがあります。エンジニア、EC開発者、ショップ運営者などが参加しており、EC-CUBEの機能や使い方に関しての質問に回答してくれるため、初心者でも問題をスムーズ解決することが可能です。
よくある質問を検索できるサポートサイトや開発者向けのドキュメントサイト、Slack・ユーザーグループの勉強会・ガイドブック等も充実しています。
まとめ
この記事では、ECサイト制作・構築時に押さえておくべきポイントをお伝えしました。
「ネットショップをオープンしたいけど、制作が大変そう…」と不安を抱えている方は、実際にECサイトの運営をはじめてみれば意外と簡単にできてしまうこともあります。
「セキュリティ・コスト・運用の手軽さ・カスタマイズ性のバランスを保って、ECサイトを構築したい」という方は、機能性とサポート両方の充実したEC-CUBEをぜひ利用してみてください。
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