アナログ無しでは進まない、B2B EC戦略
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メーカーや卸売業者などが、取引のEC化に期待することは2つあります。
一つ目は売り上げ拡大で、二つ目はオペレーションコスト削減です。
前者の売り上げ拡大は、デジタルマーケティングや昨今流行りのマーケティングオートメーションを味方につけることで、顧客育成(ナーチャリング)の大部分をデジタル化することができるだろうし、その恩恵は大きいと考えられます。
一方、後者のオペレーションコスト削減はどうでしょうか?すべてのオペレーションをデジタル化することが、自社のお客様にとって真に利便性を上げることになるでしょうか?
B2B ECを利用される方がなぜECを利用するか、そのことを考えれば、アナログを残すことは必要です。
B2CでECを利用する人は、自分の欲しいものを手に入れようとします。したがって、多少不便があってもその不便を乗り越えて購入するともいえます。もちろん、UXやUIに配慮することで、できる限り使いやすいサイトであるべきなのは間違いないのですが、自分が欲しいものがあれば、多少入力項目が多かろうが、画面が遅かろうが、決済方法が限られていようが、それを手に入れるために努力します。
一方、B2B ECの場合はどうでしょうか。極端に言えば、B2B ECのユーザは、”怠惰”だともいえます。たとえ自分が「必要な」ものがあったとしても、自分の会社のやり方を変えてまでは、手に入れようとは思いません。「欲しい」から買うのではなく、仕事だから買うのであり、仕事のルールにのっとるのが大前提です。
この場合、顧客企業のやり方を大きく変えるようなことをすると、買ってもらえないのは明らかです。
- 決済手段としてクレジットカードは与信も不要だし便利ですが、会社カードが用意されていなければその時点でアウト。個人のカードを使って精算申請をするほどまでに熱心な人はあまりいないでしょう。
- 請求書を自分でダウンロードして印刷して経理に提出する、というアクションを期待していないでしょうか。紙に印刷された請求書が郵送、あるいはFAXされてくることに慣れているユーザには、印刷すら面倒です。あるいは、「捺印」が必要なユーザはオンラインで購入できても、オンラインで支払うことはできません。
- カタログを見る、という行為も外せないものです。ECサイトを利用するユーザは、その時間の70%を検索に利用しているといわれるています。検索性が高いカタログなくして、検索性を高めるアプローチも当然重要ですが、検索をしたくないユーザがいることも見逃してはいけません。
- プロモーションをe-mailのみでやろうとしてはいないでしょうか?お客様が一体一日何通の宣伝メールを受け取っているか、考えてみると良いでしょう。今だからこそ、FAXや郵送が効果的なこともありえます。
ECは、取引がオンライン化されているだけで、買うのは所詮”人間”です。人間はそれぞれ違う生き物ですし、違う働き方をしています。B2BのUXを考える際には、そこにいるのが、より人間じみた(ちょっぴり怠惰な?)人間であることを忘れてはいけません。
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